いんぎりっしゅ〜Ingilish〜

三十路男アイデンティティー確立への黙示録

全国学力・学習状況調査から考える諸問題

日本は東南アジアなのではないかというぐらい暑い日が続いていますね…。

 

そして、重苦しい感じのタイトルで始まった本記事。

 

全国の小学6年生・中学3年生を対象に4月に行われた「全国学力・学習状況調査」の結果が出たという記事を発見。

www.yomiuri.co.jp

 

日本人の学力の高さは世界的にも有名だとのこと。しかし、得た知識を「活用する能力」という点においては非常に低いように思われます。

記事の前半では、現在進行形で英語の学習を頑張っている方には、日本に生きる現代人がどのような領域の学習に注力していくべきなのかを考えていきたいと思います。

 

後半では、今回の全国学力・学習状況調査から見えてきた教育現場の課題について論を展開していきたいと思います。

特に、保護者の方や現役教員の方に見ていただければ幸いです。

 

前半

調査トータル 悪くはない

f:id:inspire30yearsold:20190801112227p:plain

政令市の結果

政令市のの結果だけですが、決して「めちゃくちゃ悪い!」というものではありません。

順位こそついているものの、あくまで国内の基準。学力としては個人差があるので正直保護者の立場の方がこちらをご覧になられているのであれば、お住いの自治体の順位が低いからといって嘆くことはないと思います。

むしろ、気にしてほしいのはここからです。得点がとれていない傾向はどこにあるのかを調べていくことで、現代日本の英語教育がどのような領域に力を入れているのかということや、逆に軽視している領域が見えてきます。現代の児童・生徒の傾向がわかれば、10〜20年ほど前まで学生だった方は自分の得意領域を自覚できるかもしれませんね。

 

領域 聞く・読む・書く

得意な傾向にある領域だということが今回の調査でわかりました。(もちろん個人差あり) 

ソースはこちら↓

https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/data/19meng.pdf

報告書は上記の領域がまとめて3つ表示…

詳細は上記データのP11に記載されていますが、全体としてはまずまずなのではないかなぁ…と、中高の英語免許を所持している元小学校教諭の立場からは判断しています。←あてにならない

 

得意だとされている領域でも…

ちなみに以下の項目は正答率10%を下回るかその近辺でした。

 

①来日する留学生の音声メッセージを聞いて,部活動についてのアドバイスを書く

食糧問題について書かれた資料を読んで,その問題に対する自分の考えを書く

③学校を表す2つのピクトグラム(案内用図記号)の案を比較して,どちらがよいか理由とともに意見を書く

「書く」ダメやん。

f:id:inspire30yearsold:20190801123621j:plain

3つまとめてるから詳細みないとわからんやん…

もちろん、他の領域でも低いものはありましたが、この3つの領域では

「書く」はずば抜けてダメですね。

 

しかし、決まり切ったものを「書く」ということに関しては正答率が高い傾向にあります。「会話が成り立つように英語を書く」、つまり虫食い問題のような形式では低くても30%の生徒が正解を導き出しているという結果がでています。

 

では、なぜ「書く」の領域が低いと判断出しのかというと、

要は、

思考を伴って「書く」という行為が苦手

だということが読み取れるからです。

 

個人の意見ですが、留学生にアドバイスするってシュチュエーション30歳のおじさんでもなかなか経験しないシチュエーションですし、生活経験がまだまだ未熟な生徒たちには具体性に欠けていたようにも思えます。もちろん、経験している生徒もいるけどね!

 

考えながら第二言語で意見を…アドバイスを…クリエイティブな作業と英語を同時に使うということは難しいんですね。特に、私のような中途半端な英語を使う人は…。

 

領域 話す 

上記3つの領域では、「書く」の弱さが露わになりました。

では、残された学習領域「話す」はどうでしょうか?

 

結論からいうと、

これが一番弱い。

f:id:inspire30yearsold:20190801130221j:plain

お喋りが苦手って…

先ほどの3領域は、3つの領域の平均でも50%の得点率でした。

しかし、この「話す」の領域は

単独で正答率が30%

なのです。

 

どのようなことが実施されていたのかといういうと、以下のとおり。

 

カレンダーを見て,少女の誕生日を答える

②テレビを見ている2人の子供の絵を見て,何をしているのか答える

③バスで登校する少年の絵を見て,交通手段を答える

④ユイコとアラン先生のやり取りを聞き,その内容を踏まえて会話が続いていくように,即興で質問をする

⑤海外のテレビ局の要望に応えて,自分の将来の夢,またはやってみたいこと等を話す

どの設問をみても思考が伴っていますね。自分のペースで「書く」ことができていても、リアルタイムに相手が存在する場合は会話の「間」も重要な要素になってきます。「書く」よりスピーディーな処理が求められる訳ですもんね…そりゃ、この結果になりますわ…。形式的な会話の向こうって絶対に実質的な内容を伴った会話が待っていますもんね。弱点が露わになった現代学生は一体何を思うのだろうか…。


前半 まとめ

①「書く」苦手!!

②「話す」もっと苦手!! 

何度も書きますが、個人差はあります。しかし、日本という国としての傾向はわかってもらえたのではないかと思います。また、それが少しでも伝われば幸いです。 とにかく、「思考を伴った」作業は苦手傾向なんでしょうね。反復訓練でできるような単語のインプットは得意。しかし、アウトプットの観点から考えると…。 一つの大きな調査で、考えることがたくさん出てきたように思えます。 

後半

 ここまで読んでいただいて有難うございます。後半はこの調査から見えてきた諸問題についてです。私が考える問題は二つあります。 一つは、子どもたちの学習環境。 もう一つは、教員の労働環境です。 では、順に持論を展開していきたいと思います。

問題その1 学習環境

学習環境というのは、前回の記事でも紹介させていただいたとおり様々な環境が想起できると思います。詳しくは前回の記事を御覧ください。 inspire30yearsold.hatenablog.com ただ、私が言っているのはこのような空間的な環境ではなく、お子さんたちを取り囲む教員の指導のことを指しています。 
元教員の立場から言えるのは、間違いなく先生方は頑張っているということだけは言わせてください。 
ただ、その先生方を苦しめているのが教科書や国の方針なのです。ちなみに教科書も国の方針も批判する気はないので先に宣言しておきますね。 
「子どもたちを英語ができるように指導していきたい!」と思っているのは先生も教科書会社も国も同じだと思います。 
ただ、そこには埋めきれないほどの溝というか…現場と会議の理想の差が存在しています。 
現実と理想の差として代表的なのが、「年配の方々を変化させることは難しい」ということ。若い先生方は積極的に研修を受けたり、講演会に出向いたりすることもあるかと思いますが、10年から20年ほど教員を続けられている方々の価値観を変えることは非常に難しいのです。それは、それぞれの成功体験が積み重ねられてしまっているから。 

「私が若い頃はこうだったから。」
「いや、知らんし。今はこういう国の方針ですよ。」←一部心の吐露
「いや、でも私の若い頃は…!!」
「いや、知らんし。今は若くねーし。」←全部心の吐露 

f:id:inspire30yearsold:20190801140703j:plain

本当はこうしてやりたい…。そんなことは思ってませんよ♡


このような戦いが日々繰り返されていては新しい方針も何もないですよね…。この、苦手領域を変化させるためには少なくとも3年から6年は時間がかかるでしょう…。なので、現段階で中学校のお子さんの保護者には大変お伝えにくいですが、急激な変化・改善は見込めないと思います。 
研究をされている学校だったり、英会話スクールがこの数年で身につけるには一番手っ取り早いです。

 
問題その2 教員の労働環境

最近、教員は激務だとかブラックだとか取り上げられる機会が多いですが、この際はっきり言っておきます。 
真っ黒です。 
だからなんだという感じですよね。私が言いたいのは、真っ黒だということではなく先生方の労働環境に適したネット環境やICT機器が存在・配備されているところが少ないということです。 
なぜ、この問題が全国学力・学習状況調査から導き出されたのかというと、実は話すの試験内容において多々問題が発生したからです。こちらのデータを御覧ください。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/__icsFiles/afieldfile/2018/10/09/1409973_001.pdf 
要するに、事前にネット環境とかUSBの環境を確認して、当日困らないようにしてね!というお達しです。 
これには、ネット環境が脆弱な学校は大変苦しめられたと聞いています。 
また、こちらの記事を御覧ください。www.nikkei.com機材トラブルによって「話す」のテストが実施できなかった学校が約500校も存在するのです。これは、完全に「教員の責任」致し方がないトラブルですよね。まぁ、確認が甘かった場合も無きにしも非ずだとは思いますがね。こういう通常のオフィスではあまり起きないであろうトラブルが頻繁に発生するのが学校現場なのです。まずはこの課題を解決しないことには、教員の働き方改革もなにもないですよね。

後半 まとめ

①先生達頑張っているけど、変化しにくい内部要因あり!BBA

②先生方に最先端の電子機器と管理できる人材の派遣を!

 

忙しいんだから削れるとこ削って、古い考えを撤廃しよう!

 

 

English of いんぎりっしゅ

今回はたくさん書きましたが、読んでくださりありがとうございます!学力調査も今後の生徒に変化をもたらす役割を担う教員も自分たちに足りないところを見直して、新しい一歩を踏み出して欲しいですね。

 

Thank you for reading!!All students,teachers, take a step to the future!!We can do it!